オオハキリバチ                                           Megachile sculpturalis Smith, 1853

[発生期]

 夏季~秋季。年1化性で、越冬態は前蛹。

 

[寄主・訪花植物]

クズ、ハギ類、カラスザンショウ等。クズに対して狭食性をもつ。

 

[生息環境]

平地~山地。北部九州では、都市部でもよく見かける。人為的に作成した”Bee Hotel"にも、容易に営巣する。

 

[営巣習性]

竹筒やヨシ筒等の既存孔に営巣する。巣内の育房は、マツ等の針葉樹から集めた樹脂を用いて仕切られ、入口栓は土壁で閉鎖する。旧巣と旧育房を再利用する習性が強い。

 

[寄生者]

ハラアカヤドリハキリバチやオオトガリハナバチが労働寄生する。他の天敵として、キイロゲンセイ、コウヤツリアブ、シリアゲコバチ、オナガコバチの一種等が報告されている。

 

[その他]

東アジア固有種であるが、アメリカやヨーロッパへ侵入し、分布を拡大している。

 

[参考文献]

  1. 前田泰生・佐々木陽一・北村憲ニ (2002) オオハキリバチとその労働寄生蜂の生活. ハチとアリの自然史-本能の進化学- (杉浦直人・伊藤文紀・前田泰生 編著):71-94. 北海道大学図書刊行会, 札幌.
  2. Maeta Y., Kitamura K., Kagino Y. & Ikegami N. (2008) In-nest behaviors and labor economy of Megachile (Callomegachile) sculpturalis Smith (Hymenoptera, Megachilidae). Chugoku Kontyu, (22): 1-22.
  3. 長瀬博彦 (2014) オオハキリバチ. 日本産ハナバチ図鑑 (多田内修・村尾竜起 編): 306. 文一総合出版, 東京.
  4. Parys K.A., Tripodi A.D. & Sampson B.J. (2015) The giant resin bee, Megachile sculpturalis Smith: new distributional records for the mid- and gulf-south USA. Biodiversity Data Journal 3: e6733. 
  5. Quaranta M., Sommaruga A., Balzarini P. & Felicioli (2014) A new species for the bee fauna of Italy: Megachile sculpturalis continues its colonization of Europe. Bulletin of Insectology, 67(2): 287-293.
  6. 佐々木陽一 (1980) オオハキリバチの交尾戦略:雄はどのようにして雌を獲得するのか. 水口憲哉・植松辰美代表「無名のものたちの世界」. pp. 39-70. 思索社, 東京.
  7. 佐々木陽一・前田泰生 (1994) 秋期にみられるオオハキリバチの新成虫. 中国昆虫, 8: 37-48.
  8. 佐々木陽一・前田泰生 (2018) オオハキリバチの日周活動と増殖. ホシザキグリーン財団研究報告, 21: 209-218.